戸澤の週報
2018年11月25日
融通無碍
17時前にはもう暗くなってしまいます。
1年で一番日が短い時期がやってきました。
まだ本格的な冬には少しだけ時間がありますが、もうあの暑い夏が懐かしく感じます。
半導体のマーケットは現在すごい勢いで状況が変わっています。
一つは昨年前半からの強気の相場はすっかりと鳴りを潜めてしまい、調整局面に入っています。
唯一大きな問題として残っているのはセラミックコンデンサですが、こちらも一時よりは改善してきているようです。
もう一つは半導体の商流の変化です。
外資半導体メーカーを中心として、自社の正規代理店以外の販売を制限する動きがはっきりとしてきました。
理由はいくつかあると思いますが、ここ1年間見ていても確かに思うことは、商社が間に入っていることによって、実際の顧客の需要数量が見えづらくなってしまうことです。
ここ1年間のような一時的な需要がタイトな時期になると、顧客も物量確保に向けて実需より多めに発注を掛けて、同時にメーカーと顧客との間に入っている商社も実際の顧客からの注文よりも多めにメーカーに発注を掛ける。
これだけ見ても、2重のバッファが働いてしまっています。
その結果メーカーは生産を行うための正しい情報を見失ってしまい、需要を多めに認識してしまい、あるタイミングで大きな残材を抱えることが考えられます。
このことより、半導体メーカーは管理がしやすい自社の代理店だけに自社の製品を販売させ、従来からブロードマーケットのサポートを行っていた2次商社を商流から除く動きが方向性として見えてきました。
この手法は確かに半導体メーカーから考えれば、「実需と仮需のジレンマ」と「2次店による特価の流用」と言う2大問題を解決できるように見えるかもしれません。
この方法は確かに効果を発揮することになると思います。
しかしながら個人的にはこのやり方は副作用が大きく、気が付いたら肝心な顧客の支持が得られなくなる可能性が高いと思っています。
それではどうすればみんながハッピーになるかを考えてみました。
半導体には正規代理店があるように、ブロードマーケットをサポートするための正規2次店(ブロードサポート商社)を正式に作るべきです。
半導体メーカーが恐れるリスクを契約でヘッジして、メーカーが求める運用方針に則って2次店を正式に配置することによって、これらの問題は解決に向かってくるはずです。
ビジネスには多くの利害関係者がいます。
メーカー自身、その株主、販売商社(1次店、2次店)、顧客となります。
商社を2次店まで合わせると関係者は5か所なります。
今回のやり方で考えると、良くて「ゼロサム」で、普通に見ると「マイナスサム」と言えそうです。(全ての関係者のメリットデメリットを全て足してみて、0であればゼロサム、マイナスになればマイナスサム。全体の総数が0を超えればプラスサム)
ビジネスに必要なことは「プラスサムの最大化」だと思っています。
決して努力もせずにただ顧客と半導体メーカーの間に入ろうとは全く思いません。
そこは商社も高い目標を持ち切磋琢磨した結果を付加価値として自信もって提案できるようにしておかなければいけません。
いずれにしても、従来型のやり方では全く通じなくなる日はもうそこまで来ていると言っても過言ではないと思います。
世界が変わっているのであれば、そこに合わせて自分も変わらなければいけません。
長い歴史上生き残ったのは決して強いからではなく、決して賢いからではなく、環境に合わせて変化していった者だけであるから、変化を恐れてはいけないのだと思います。
今こそ座右の銘のひとつである(融通無碍:ゆうずうむげ)であることが求められていると感じます。