戸澤の週報
2024年02月11日
2分遅れで謝らない
東京でも雪が降り、久々の銀世界を見ました。
それでも2月は半分まで来ています。
まもなく来る春を分かっているのか、木々の先にはつぼみや若い芽が出てきています。
最近電車に乗っていて違和感を感じました。
ある特急列車に乗っていたのですが、終点近くになり車掌さんのアナウンスがあり、2分間遅れたことに対して謝っているのです。
終点までの時間は70分です。
遅れる事自体は良いとは思いませんが、全体の時間から見たらわずかな時間です。
その何日か後に山手線のアナウンスで、これまた3分間遅れたことに対する謝罪をアナウンスでしていました。
もちろん、予定している時間に着くことは大事なことではありますが、一番大切なことは安全に到着することです。
そこができているのであれば、謝る必要もありませんし、謝ってほしいとも思いません。
今最も必要なことは、時代の変化に合わせた、強い会社作りです。
無理を重ねて取り繕っても仕方ありません。
現在大手企業で起こっているような、様々な品質の不祥事に繋がる結果になるだけです。
それよりも、もっと顧客がワクワクして楽しめるような工夫をしてもらいたいと思いますし、快適に乗車できるような改善をしてもらいたいと思います。
最近は至る所でサステナブル(持続可能)な成長と言うワードを聞きます。
日本は戦後、全力で駆け抜けてここまで来ました。
しかし、令和も6年目を迎えた今、考え方を少しずつ変えていかなければいけない世の中になってきたと強く感じます。
五木寛之氏の代表的ロングセラーである「大河の一滴」と言うエッセーを読みました。
五木寛之氏と言えば「青春の門」が代表作で、楽しくって一気に読んだのを覚えています。
大河の一滴は1999年に初めて文庫にされてから、既に45版のロングセラーになっています。
この本の特徴は、前向きなプラス思考だけが全てではなく、マイナス思考から始まることもあると説いています。
空から降った雨水は木々の葉に注ぎ、一滴の露は森の湿った地面に落ちて吸い込まれる。
そして、これらは地下の水脈となり、のちに地上に出て小さな流れを作る。
やがて小さな流れは川となり、平野を抜けて大河となる。
その流れに水を預けて海へと注ぐ大河の水の一滴が私たちの命だと説いています。
海から始まった命は、再び空に昇っていき、雲になり露となり、また雨となって最後にはまた海に帰る。
このように五木さんは我々の生命を大河の一滴と例えています。
このように考えていると、命の大きな意味での循環を意識できてくるから不思議な感覚です。
前向きなことは良いことだけど、ゆっくりとあせらずに、あるがままに身を預けて流されているのも、また良いものだよと、話しかけられているような気がしました。