戸澤の週報
2017年12月31日
顧客が選ぶ時代
2017年も残すところあと数時間となりました。
最後の最後までやり残したことをやっつけようとしていますが、残念ながら全部は終わらなそうです。
来年は計画的に行動できるようにさらなる自己管理能力を身に付けたいと思います。
「取り引きする会社は顧客が選ぶ」と聞いて特に違和感を感じる人は少ないかと思います。
我々が扱う半導体・電子部品の購入においては、この通りには行きません。
顧客はメーカーが指定した代理店からの購入を義務付けられ、もしそれを破ろうものなら代理店からクレームとメーカーから指導が入ります。
その為、「取引する会社はメーカーが選ぶ」が正解となります。
しかしながら、この流れに反する動きが3~4年前に少し見えてきて、ここ1~2年でその動きがにわかに強くなってきました。
他の業界を見ても、電気の自由化で関東にいても東京電力以外から電気を購入できる時代です。
寡占化されていた携帯業界に第4の会社である楽天の参入が表明されました。
監督省庁である総務省も非常に乗り気であるとのことです。
様々なものが動き始めている感覚がしています。
我々の業界に再び目を向けます。
なぜ顧客が取引する会社を選ぶようになって来たのでしょうか?
それは、部品単体で従来のようにまとまった数で購入することが減ってきたからです。
数量をまとめて買う以上、顧客のニーズは「価格」です。
その場合は、メーカーが指定している代理店からの購入が一番有利に働いていました。
それでは現在のニーズは何なのでしょうか?
それは、大きく分けて「4つのニーズ」だと考えています。
1つ目は顧客の製造ロットが少量となり、最低発注数量(MOQ)でない必要数量での購入です。
これは余剰在庫になりがちなMOQを避けて、使うだけの数で発注したいというニーズです。
2つ目は短納期での入手です。
部品を購入している顧客には必ずその先の顧客がいます。
顧客の顧客の要求が従来よりも明確な内示やフォーキャストが出てくることが少なくなってきています。
これは毎月安定して作る機種が減ってきたと言っても良いかと思います。
3つ目はアウトソースのニーズです。
働き方改革と言う言葉が2017年の大きなキーワードとなりました。
各会社において、従来のような残業時間を前提にしていた業務は成り立たなくなりました。
そこで、試作などの従来の人手をかなり必要としていた業務が社内で行うことが困難になりました。
企業としての選択と集中によって、製造ラインを自社で持つことをやめて、他社へ委託する動きも見えました。
物流業務委託のニーズも多く見られた1年だったと思います。
4つ目は生産中止品に対するニーズです。
3つ目に触れた働き方改革や新規採用の困難な現状による人材不足(リソース不足)によって、多くの課題が顧客の中で生まれています。
顧客ニーズに合わせて生産すると機種が増えてしまい、管理が煩雑になってきます。
顧客からはサポートの長期化を求められます。
このような状況では生産中止品の問題から逃げることはできません。
生産中止品の調達には偽造品や製品品質のリスクが伴うため、従来の取引先だけでは問題解決が出来なくなってきました。
しかも、日本の顧客であっても中国やその他地域で生産する場合があり、日本だけではなく全世界での生産中止品の品質を安定させる必要があります。
当社とお付き合い頂いているお客様が全て4つに当てはまるとは限りませんが、ほとんどの会社が最低3つは当てはまっている現状です。
顧客の従来の取引先に求める優先順位のNO,1は「価格」です。
それもダントツのNO,1だったかと思います。
現在は一部の超大手企業を除いて、優先順位が会社によって少しずつ変動しているのを感じています。
決して価格がどうでも良くなったわけではありませんが、従来のようにダントツのNO,1ではなくなってきたと思います。
2017年が間もなく終わります。
2018年はこの流れがさらに加速されることが予測されます。
そしてこの流れの中においては、模範とすべき企業はどこにも存在しません。
自社で顧客のニーズを読み取って、それを適切な形でサービスとして、そのサービスに必要な人員を育てていく事が必要です。
2017年は少しだけ、ここに取り組むことを開始できましたが2018年が本番です。
より多くのお客様と仕入先の皆様のご期待にお応えできるように、全社員一丸となって全力を尽くしていきたいと考えております。
2017年は大変お世話になりました。
2018年も大きく成長する当社を楽しみにして頂ければと思っております。
引き続きどうぞよろしくお願い致します。