戸澤の週報
2024年07月21日
フローとストック
梅雨も明け、夏本番となりました。
今年も暑さは非常に厳しいものとなり、不要不急の外出は避けなればなりません。
水分と休憩を上手にとり、この暑い季節を乗り切っていきましょう。
時代が動くときには必ずその兆候があります。
今までの常識では、どうも今の現象が捉えきれない。
従来のルールでは、今起こっていることについて対応できなくなってきている。
このような時にぶつかることが、世の中を慎重に見ていると、結構あります。
最近の例ですと、ライドシェアです。
観光地でタクシーが足りなくなり、ようやくライドシェアの議論がなされ、一部規制が緩和されました。
かなり限定ではありますが、日本版ライドシェアの枠組みが決定され、運用が開始されました。
こういったプロセスを「フロー」と「ストック」として、捉えて、そこにさらに「抽象」と「具体」を合わせた、4つの概念で社会変化に関して説明したのが、ビジネスコンサルタントの細谷功さんです。(KADOKAWA フローとストック)
フロートとは変化が起こっている状態です。
ストックとはその変化が一定の場所に行き着いて、固まる状態です。
先述のライドシェアの話ですと、従来のタクシーだけだと、現在の問題が解決出来なくなってきたため、フローの状態が起きて、その後日本版ライドシェアと言う形に落ち着き、ストックの状態になったという理解です。
抽象とは、ルールや人に浸透している常識では対処できない事象に対して、もう一度現状を整理し、グルーピングし、全体像を捉えることです。
それに対して具体とは、抽象化され、変化が落ち着いてきたら、その内容をルール化して文章化するイメージです。
これらを組み合わせると、「フローの具体」→「フローの抽象」→「ストックの抽象」→「ストックの具体」と4つにわけることができます。
世の中のイノベーションが起こるときには、いつも「ストックの具体」が不安定になり、「フローの具体」になることから始まります。
新しい技術が世に出てきて、今までの法律や社会常識ではカバーできなくなってきます。
最近ですと電動キックボードなどがそれにあたるでしょう。
今までの自転車や原付のルールではカバーしきれなくなるのです。
その為、今までの一旦全てのルールは忘れて、一回リセットしてみようという状態です。
次にそのリセットした状態をよく観察した結果、何等かのグループを作っていくことになります。
この状態が「フローの抽象」です。
次に抽象化して、ある程度グループ化し終わり、電動キックボードに適したルールを作成し法整備なりして決定していきます。
この状態が「ストックの抽象」です。
そして、その法整備した内容を実際の地域や場所に合わせた形で運用方法を決定し、実際に稼働させていきます。
これが「ストックの具体」です。
この一連のサイクル(「フローの具体」→「フローの抽象」→「ストックの抽象」→「ストックの具体」)はいつの時代でも、どんなことでも回り続けています。
なかなか分かるようで分かりづらい概念ではありますが、一度理解できてしまうと、世の中の変化に対しての適切な視点を持てるようになります。
また、イノベーションがどのように起こっていくのか、全体像から理解できます。
いつの世も、時代が抱えている課題に対して、イノベーターが新しい提案をするのですが、既にその世界でルールを作っている人が反対してなかなか世の中で浸透していかないのも、この概念を理解するとよく分かります。
イノベーションを起こし、世の中に浸透させているには3つの方法があります。
1つ目は正攻法で、旧態と真っ向から戦い、そのイノベーションの価値を理解した世間を味方につけて勝つことです。
なかなかしんどいですが、この道しか選べないものもあるかと思います。ライドシェアもそうですね。
2つ目は、自分自身が自分自身の過去の成果のルールを書き換え、イノベーションしていくことです。
これができる場合が一番成長していくことになるのでしょう。
3つ目は、旧態の方から気が付かれないようにイノベーションを起こしてしまうことです。
まるでバサロ泳法のように、世の中に大きく広がるまでは、水中深く泳いで進み、その時期が来たら水面に浮上するイメージです。
イノベーションを起こしたければ、フローとストック及び抽象と具体の4つの関係は正しく理解した方がよさそうです。
これらを学習した結果、世の中の事象を見極めるのに必要なフレームワークを手に入れた気がしました。