戸澤の週報
2024年06月02日
人生の成功とは何か
5月が終わりました。
梅雨が近づいてきています。
雨の季節はどうしても外出がしづらくなってしまいますね。
経済学者の田坂広志さんの著書「人生の成功は何か」を読みました。
非常に著名な方ですが、私は初めて著書を読みました。
人生の成功という大きなテーマに対して、真っ向から取り組み、シンプルでわかりやすい提言をしてくれています。
人生の成功には3つの思想が存在するとあります。
1つ目は「勝者の思想」です。
この思想は人生を競争と考えて、その競争の勝者になることを人生の成功と考える思想です。
受験教育、偏差値教育などが最たる例ですね、。
しかし、競争だけではない、もっと素晴らしいもののためにも、私たちは実際に一生懸命に努力しているはずです。
実際に勝者の思想ではごく一部の人しか勝つことができないため、本当の意味で幸せになることは難しいと言わざるを得ません。
そこで2つ目に生まれてきたのが「達成の思想」です。
人生の成功を、自分にとって価値のある目標を達成することであると定めることです。
勝者の思想は他人との競争だったのに対して、達成の思考は自分自身との戦いになります。
勝利を誰かと奪い合うのではなく、多くの人との間で、互いに励まし合い、支え合い、ともに目標の達成を喜ぶことのできる思想です。
切磋琢磨という言葉があります。
お互いが競争しているようで、互いに刺激し合い、互いに腕を磨き、気が付けばどちらも高みに達している。
これからも達成の思想と言えそうです。
しかし、この達成の思想も、一度達成してしまったなら、また更なる高い目標を掲げて歩く必要があり、その先もずっと続きます。
そこで3つ目の「成長の思想」が生まれてきます。
この思想は、人間が人生の困難と格闘することによって、成長することを人生の成功と考える思想です。
成長の思想の根底にある考え方は、「この人生を一生懸命に生きるのは、勝者になるためでもなく、目標を達成するためでもなく、人間を磨き、成長するためである」です。
生前の稲盛さんがいつも言っていた言葉ですね。
この考え方を持っていると、「人生における困難」が、「自分の可能性を高める機会」に変わります。
苦労を苦労と思わずに、自分の可能性を切り拓く機会ととらえることができます。
苦しみのあまり、夜も眠れなかった日々や苦闘し続けた歳月。
終わってみると、その日々が自分の心を鍛え、深めてくれ、成長させてくれた。
我々も少しはこういった経験を持っているはずです。
この「成長の思想」は、人生における苦労や困難を、180度逆転して見つめる思想です。
そう考えると、自分の夢を叶えるためには、多くの困難に出会わなければならないということになります。
多くの困難にすでに出会っている人は、現在大きく成長しており、夢に近づいているということになります。
それならば、「どんどん困難よ、やってこい」、とまでは言うことは難しいですが、困難に対する見方は少し変わります。
そして、この本の最後には、本当に心を揺すぶる文章があります。
人間が死ぬ間際に不思議な人物がやってきて、良い人生だったかと質問します。
良い人生だったが、本当に良かったことは良い人生を送れたことではない。
「この人生という旅に出れたことだ。そのことが最も深い感謝だ」と答えます。
このような境地にたどり着けるかとても自信ありませんが、少しでも目指して一日一日を過ごしていきたいと思いました。