戸澤の週報
2021年05月23日
クラウゼヴィッツ
先週も雨降りの一週間となりました。
例年のこの時期に比べて、日照時間はわずか5%と言われています。
それでも関東はまだ梅雨には入っていないということです。
先週の孫子と並んで、世界的に著名な戦略と言えば、クラウセヴィッツの「戦争論」です。
孫子に比べて、日本ではそれほど知られていませんが、一時は世界中の有識者がこぞって研究したようです。
クラウゼヴィッツは、現在のドイツのルーツであるプロイセン王国の軍人です。
ナポレオンが全盛期のフランスに大いに苦しめられた経験をもとに、プロイセンの今後のためを思って書き残した、戦争の考え方や戦い方をまとめたものとなります。
孫子は戦いはできるだけ避けた上で、どうしてもやらなければいけない場合だけに限って行うものと言っているのに対して、戦争論では、仕掛けられた戦争は正面から受け止めなければいけないと言っています。
孫子は仮に勝負がついた場合は、敵を深追いせずにいるのが良いと言っているのに対して、戦争論は敵を最後まで殲滅させることが大切と言っています。
19世紀のヨーロッパのし烈な国同士の覇権争いは、現在を生きている我々からは想像もつかないほどの世界であったと思います。
戦争が日常にあり、常に緊張があり、死が身近なものであったことだと思います。
他国と大陸続きと言うことは、こうも過酷な環境なのかと、改めて理解しました。
各地に大名が点在していていた、戦国時代の日本は19世紀のヨーロッパに近いものがあったとかもしれません。
クラウゼヴィッツはコレラに倒れる数年間は士官学校の学長を務めていました。
若い時より指揮官への教育の重要性を訴えていました。
戦争とは通常とは違う特殊な環境であり、予期できない様々なことが潜んでいます。
そうしたことを含め、戦況を洞察し、決断し、実行することが求められます。
クラウゼビッツはこれらができる指揮官の必要性を訴え、実際に方法論をまとめたが、この「戦争論」でした。
国の行く末を案じての事だったと思います。
国の行く末を決める大切な要因は何か?と問われれば、色々とあると思いますが、最後に残るのは「教育」だと思います。
もちろん企業に置き換えても全く同じことです。
教育は即効性に乏しく、実施するためのコストも大きいため、平時においては優先されづらいのかもしれません。
日本の歴史を紐解いてみても、教育に重きを置かれて実行されていたのは、安寧の時代ではなく、動乱の時代だと思います。
そういう意味では、国のような大きな組織も、企業のような小さい組織も共通して言えるのは、教育の本当の重要性に気が付くには、命の危険すら感じる危機感が必要だと言う事なのかもしれません。