戸澤の週報
2021年04月23日
スイッチ・オン
首都圏と関西で3回目の緊急事態宣言となりました。
長い自粛生活の中で、様々なことを考え、思い迷うことも多いのではないかと思います。
現在のような特殊な環境であるがゆえに、普段では気にならないことも、気になってしまう事もある気がします。
先日、遺伝子学の権威である筑波大学名誉教授の村上和雄氏がこの世を去りました。
村上教授は笑顔・笑いの大切さや、前向きでポジティブであることの大切さを、専門分野である遺伝子の観点から分かりやすく教えてくれていました。
成人の人間はおよそ60兆個の細胞があります。
それぞれの細胞には大百科事典3200冊分の遺伝子情報が、米粒60億分の1に分けたぐらいの小さなスペースに格納されています。
人間とチンパンジーでは遺伝子の全遺伝情報(ゲノム)で、3.9%しか変わらないそうです。
そして、ノーベル賞をもらう人とそうでない人の全遺伝情報の差はわずか0.5%ということです。
遺伝子(DNA)にはA(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)と言う4つの塩基の文字で32億の遺伝子情報が書かれています。
わずかこの4つの文字ので、人間のこの精緻な構造が決められているとは驚きです。
遺伝子の内2%はタンパク質をつくるための設計情報が書かれています。
しかし、残りの98%はどんな働きをしているかわからないブラックボックスとなっています。
この98%の部分が、人の潜在的な可能性を高めるポイントになる部分です。
火事場の馬鹿力言う言葉がありますが、人間は緊急時に眠っていた遺伝子をたたき起こして、瞬時に莫大なエネルギーを作り出します。
村上教授によるとこの眠っている遺伝子は電灯のスイッチのように、オン・オフができるということです。
起きている遺伝子はタンパク質や酵素を作ることができるので、スイッチがオンになれば、タンパク質や酵素を作ることができます。
生活習慣や自分の考え方を意識的に変える事で、遺伝子の能力を自分でオンにすることができるということでしょう。
今までオフになっていた遺伝子が、わずかでもオンになり、働きを開始してくれるのであれば、それまでの自分とは違った自分になれるはずです。
ではどのように良い遺伝子を目覚めされれば良いのでしょうか?
村上教授は6つ挙げています。
①どんな時も明るく前向きに考える。
②思い切って今の環境を変えてみる。
③人との出会い、機会との遭遇を大切にする。
④感動する。
⑤感謝する。
⑥世のため人のためを考えて生きる。
どれも、普段から意識していないと忘れてしまう事ばかりです。
細胞は驚くほどの数が毎日入れ替わっているのですが、人間の考えや思いは固定しがちです。
変化を恐れずに、一つ一つの中身を吟味して、今自分がこうして生きていて、周りの人や環境に生かされていることを再認識することから始めることが良さそうです。
特に①の明るく前向きなことは、たまにではなく、どんな時もと言うことがポイントだと思います。
良い時も悪い時も両方があって当然だし、悪いと思っていることも見方を変えれば、何か今までの流れを変えるきっかけになることは良くあると思います。
自分の経験上、うまくいっていない時は、集中力が著しく低下しています。
何かをしながら、他の何かを考えてしまっている状態です。
目の前のことに熱中して、わき目もふらずに取り組むことが、遺伝子をオンにしやすい状態だと思います。
「一所懸命」がスイッチ・オンの入り口だと村上教授に学ばせて頂きました。