戸澤の週報
2005年04月16日
2005/4/16
私の座右の書に松下幸之助氏が著者の「社員心得帖」があります。申し上げるまでも無く著者は松下電器産業の創立者であり、現在の松下電器産業を世界規模に育て上げた方です。多くの著書の中でこの本は非常に分かりやすい平易な言葉で書かれており、何度読んでも都度、新鮮な発見があります。著書の中で松下氏は「週2日の休みの内、一日教養、一日休養といったように有効に活用できているだろうか?」とまず問うています。この時点でかなり耳が痛いのですが、さらに「仕事の能力を向上させたり教養を高めたり、あるいは健康な体つくりをすることはただ自分一人のためではなく、社会の一員としての義務として考えたことがあるのか?」と問われています。私はこの本を既に5回は読んでいますが、ここの件が初めて心に残りました。松下氏曰く、私たちの社会で全ての人が一段階ずつ進歩したとします。それにより社会全体も一段向上することになります。ところが他の人が3段進歩したのに、自分一人が一段しか進歩していなければ、社会全体の平均の段階は3段階上がらない計算になってしまいます。つまり自分ひとりのために全体が犠牲となってしまうということです。非常に新鮮でした。一見、週末のことなど全ては自分ひとりに帰結する内容だと思われますが、そうではないのですね。この本はエッセイのように気軽に書かれていますが、一つ一つの言葉に深い意味があり、一度読んでもしばらく経つとまた読みたくなる名著です。