戸澤の週報

2025年02月22日

システム思考

3月を前にして、非常に寒い日が続いています。

毎年忘れてしまうこの寒さですが、温かい春を迎えるためには、乗り越えなければいけません。 

 

システム思考と言う考え方があります。

ここで言うシステムとは、何かを達成するために一貫性を持って組織されている、相互に繋がった一連の構成要素です。

ちょっと、わかりづらいですね。

システムとは「構成要素」「相互の繋がり」「目的」の3つを持つものと言えそうです。

サッカーチームもシステムです。

サッカーチームは、選手やコーチ・監督、サッカー場、ボールなどが構成要素で、試合のルールや、監督の戦略などが、相互に繋がりを持たせています。

チームの目的は試合に勝つことでしょう。

もちろん、企業もシステムの代表格だと言えるでしょう。

システム思考を理解する上で、アイスバーグ(氷山)理論が大切です。

通常、氷山は目に見える部分の何倍以上が海面の下に埋もれており、見えません。

アイスバーグ理論は、表面的な出来事ではなく、その背後にある原因や根本的な構造を分析するのに役に立ちます。

 

企業の売上が下がっているという事象を表面だけ見て、すぐに何か対策を立てても大抵はうまくいきません。

まずは、売上が下がっていることに対して、何らかのパターンを見極めます。

・ここ数年で徐々に売り上げが下がっているのか?

・突然売り上げが下がったのか?

そして、次に売り上げが下がった構造を考えてみます。

・販売チャネルがECに急速に変化した。

・社内プロセスが非常に非効率。

次に組織におけるメンタルモデル(深層にある考え方)を探ります。

・市況が良くなればいつかは良くなる。

・良い製品を作っていれば黙っていても売れる。

どこの会社でもありそうな、ありふれた話ですが、表面上だけではなく、深く見てみると、売上が上がらない理由が少し見えてきます。

 

これから予想される、半導体の市況回復に伴う、在庫に関する供給に関して、システム思考で考えてみます。

①コロナ禍で破壊されたサプライチェーンによって、顧客は多くの過剰在庫を持つことになった。

②代理店・メーカーも同じく在庫を持ったため、新規発注や新規生産を大きく制限することに。

③2年が経ち、ようやく過剰在庫がはけた製品が増えてきて、代理店・メーカーへ発注を出すようになった。

④この2年間、在庫があるがゆえに、半導体メーカーには注文が入っていない。

⑤よって、半導体メーカでフォーキャストに合わせて、ウェハーを先行投入して、顧客の需要に応える動きができていない。

⑥現段階では、コロナ禍で生産力を増強した影響や、まださほど大きなオーダーが入っているわけではないので、比較的適正なリードタイムでの運用が可能。

⑦在庫解消の動きが進んでくると、代理店・メーカーへの発注が一定以上のレベルを超えてくると、代理店やメーカーのバッファ在庫が不十分なことにより、納期コントロールが難しくなる。

⑧必要な時期に入手が難しくなると、顧客は発注を増やし、ものの確保に動く。

⑨実需要以上のオーダーが代理店・メーカーに入り、納期が長納期化する。

 

大体、上記のような流れかと思います。

大切なことは⑦に至った時点で、実需要以上の大きな数で発注しないことが、根本的な解決策です。

しかしながら、世の中の多くの半導体需要者の他社の動きをコントロールすることができないので、確保する動きになります。囚人のジレンマですね。

近くで起こるかもしれない、このような局面でも、パニックにならず最低限必要な数を少し早めなタイミングで動いておくことがよさそうです。

 

物事をシステム思考で考えると、色々と見えてくることが増えますので、お勧めです。

参考図書:世界はシステムで動いている 今起きていることの本質をつかむ考え方 ドネラ・H・メドウズ 英治出版

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