戸澤の週報
2024年12月21日
需要と供給
冬らしい晴れた日が続いており、雪景色の富士山がとてもきれいです。
2024年の仕事も残り1週間ですね。
半導体の業界にいると数年に1回は、需要と供給について考えざるを得ないタイミングがあります。
シリコンサイクルと特別な名前まで用意してくれています。
そのくらい、半導体の成長と収縮のサイクルのインパクトは大きく、関わるプレイヤーたちが注視しているということだと思います。
私も既に何度も経験していますが、毎回事情が違っているので違うものに見えてしまいがちです。
しかしながら、もっと引いてみれば違った見方があるのではと思い、今回経済学について学んでみました。
経済学と言えば、マクロとミクロと言う言葉を聞きますね。
ミクロ経済学は木を観察して「この木はなぜここにあるのか?」を考えると言えます。
消費者や企業の意思決定や行動を分析したり、市場における需要と供給の関係や価格形成の仕組みを解き明かします。
対して、マクロ経済学は森全体を観察して「この森はどう変化しているのか?」を考えると言えます。
国や地域全体の経済成長、失業率、インフレーション、国際貿易、金融政策などの広範なテーマを扱います。
シリコンサイクルはミクロ経済の代表的現象です。
そして、需要と供給こそがシリコンサイクルの正体だと思い、しっかりと確認してみました。
需要と供給とは、添付の関係性で説明できます。
需要が増えれば、価格も高くなり、供給も増えます。
2021年、2022年はこの局面でした。
価格が上がり、供給も増えてくればいつかは供給が需要に追いつき、追い越してしまいます。
こちらが2023年でした。
半導体の難しい所は、リードタイムが局面によって大きく変わってしまうことです。
通常3か月なところが、2年と言うリードタイムも聞かれました。
それが理由で、顧客もまとまったオーダーをせざるを得なくなり、パニックが終わったら大きな在庫を残すことになります。
現在は需要が下がり、価格は下がらず(経済学の教科書には下がると書いてある)、供給は下がっている状況です。
半導体のシリコンサイクルも、若干特有の要素はあるものの、この需要と供給の曲線の関係を忠実に反映しているのに過ぎないのです。
我々は今こそこの基本的な仕組みを学習しなければいけないのかもしれません。
半導体が欲しい人が、どんな時でも本当に欲しい数だけ発注していれば、理論的には大きなサイクルは発生しないはずです。
全世界で使用される半導体の量は想像を絶するもので、1社あたりがわずかに発注の量を増やすだけでも、全体に与えるインパクトは甚大なものです。
そうは言っても、人間の心理を完全に把握することは難しく、このようなサイクルに対して良い意味でのバッファになるサービスの開発が必要になります。
また、企業は収縮期に対する対策を万全に行っておく必要があります。
改めて、難しい業界に入ったなと思います。