戸澤の週報
2024年08月04日
マインドセット
ひとつ質問にお答えください。
人の能力や才能は生まれつきのもので、その後の努力で変わるものではない。イエスかノーか?
皆様はどちらでしたか?
自分自身の成長に関わることももちろんですが、研修教育に関わる視点からも重要な問いだと思います。
当社の今後の研修について考えを巡らせている時にある本に出会いました。
「マインドセット」やればできるの研究 キャロル・S・ドゥエック著 草思社
著者はスタンフォード大学の心理学教授です。
もう8年も前に出版された本ですが多くの読者に支持されて、32版を重ねています。
人のマインドを硬直マインドとしなやかマインドの2つに分けて考えています。
硬直マインドの人は、自分の能力(または他人の能力)、知能、その他基本資質は固定的で変わらないと信じています。
あとからは伸びないと考えているので、結果自分の有能さを確認することに心を奪われてしまいます。
反対にしなやかマインドセットの人は、自分の能力やその他基本資質は努力次第で伸ばすことができると考えています。
生まれ持った才能や、適正、気質は一人一人異なるが、努力と経験を重ねることで、誰もがみんな大きく伸びていけるという考えです。
この違いは誰もが今まで少しは考えたことがあるかと思います。
どちらかはっきりと決めることはできず、両方の間だと思っている人もあるかもしれません。
硬直マインドの人の傾向は、例えば自分が本気になって我武者羅に努力をした上で、失敗したとします。
そうすると、もうそこにはうまくいかなかったことに対する言い訳がなくなることが耐えられないと考えるようです。
しなやかマインドの人は、努力した結果失敗したとしたら、そこから何を学んだのかを考えて、その学びを未来に繋げようとします。
確かにプロの一流選手を見ていて、体格差を見るとこれはなかなかあとから何かをするのは難しいと思います。
体格差だけではなく、様々な持って生まれた才能が非常に豊かな人もいます。
しかし、そういった選手だからと言って、その後の努力はしないというわけではありません。
硬直マインドの人であれば、才能豊かな相手には近づかず、負けることを恐れ、自ら挑戦することはないのかもしれません。
しなやかマインドの人は、自分が足りない所を客観的に理解し(メタ認知)、その分を補えるものを身に付けるための努力を惜しまないでしょう。
最近の研究では、脳は筋肉と同じで、使えば使うほどに性能がアップすることが分かってきています。
新しいことを学ぶと脳が成長して、頭が良くなっていくことが科学的に証明されたということです。
それではどのようにしなやかマインドセットを獲得すれば良いのでしょうか?
自分が考える内容を、自分の能力や評価ではなく、自分が行った学びや努力、そして失敗に目を向けていきます。
「今日はどんなことを学んだか?」「今日はどんな努力をしたか?」「何か勉強になる失敗をしたか?」
昨日までできなくて、今日できたことがあったら、大きな自信を持つようにします。
社会人のマインドセットの持ち方のトレーニングですが、こちらは子供に対しても同じアプローチで行けそうです。
このことは昔から言われている、努力を行った結果ではなくプロセスを考え、評価するという考えですね。
硬直マインドから抜け出れないと、例え一回やってみてうまくいかないと、それは自分の自信喪失につながり、そこから先は全くやらなくなってしまうことになってしまいます。
しなやかマインドで取り組めば、例えすぐに結果が出なかったとしても、その挑戦自体に価値を見出して、将来への力にしてしまう強さを持ちます。
そして、努力を惜しみませんので、最後には結果を出す可能性も高まっていくのです。
このマインドの持ち方次第で、中長期の視点で考えると、大きな差が生まれてきます。
しなやかマインドの育成は、我々が思っている以上に大切なアプローチだと言えそうです。