戸澤の週報
2023年08月06日
今、なぜ本を読むのか?
先週は、当社の社内研修である「コアスタッフユニバーシティ」にて、読書についての講演を行ってもらいました。
東工大学リベラルアーツ研究教育院から、山本貴光先生にお越し頂きました。
山本先生は「信長の野望」で有名なゲームソフトの会社であるコーエーの企画・プログラムを行っていました。
その後にインターネット企業や大学の講師などを経て、現在の東工大の教授に至っています。
今回の講演に遡って当社全社員に対して読書に関するアンケートを取っていました。
その中でも一番多い内容は、「集中力が続かない」でした。
この問題に対する山本先生の回答が「集中力は続かなくて良い」と言うものでした。
現在の社会は、様々な集中力を阻害する要因があります。
代表的なものがスマートフォンですね。
ある調査では人間は一日200回以上無意識にスマートフォンを出したりしまったりしているようです。
もうこれは良いとか悪いではなく、一つの現代の習慣と捉えた方が良さそうです。
「アテンションエコノミー」と言う言葉があるほど、人間の一日に有限な関心や注意を狙い、様々な企業がしのぎを削っている状況です。
もはや、携帯の電源を切ってしまったところで、頭の中のリソースの何%かは、スマートフォンに取られているとも言います。
よって、読書に集中しようという発想ではなく、細切れでも良いから読書に取組むことを推奨されていました。
納得ですね。
もう一つ大きな収穫は、何を読めばいいのかわからないという、当社社員からの質問に対しての回答です。
「頭の中に問いを持ちなさい」と教えてもらいました。
頭の中で自分なりの問いや、謎があれば、本屋に向かえば本から呼んでくるということです。
これは非常に納得です。
私自身も、会社近くの池袋ジュンク堂に行きますと、自分の持っている課題に対して、本の方から自己PRしているのを何度も感じたことがあります。
その感覚に従って購入すると、大体期待通りになるから不思議なものです。
この教えは、決して本の選び方だけに留まらず、広く人生にも当てはまると思っています。
例えば、自分が付き合う人です。
自分で課題を持っていると、その課題解決に必要な人と巡り合えるから不思議なものです。
最後に一番興味深かった教えは、「疑似環境」です。
人の頭の中には、世の中広く全般に対して、その時知っている知識や経験で、広い世界を自分の中に疑似環境として作っています。
人間は世の中の全ての場所に行くことはできず、全ての人と話すことはできません。
例えそれらができたとしても、状況は刻一刻と変わっていくはずです。
人間の実際の見聞だけでは、世の中広くに対して、マッピングすることができません。
ここで言うマッピングとは、世の中全ての事に対して知識を得ることです。
実際に行って、見て・聞くことが良いわけですが、全てに対して行うことができないから読書で補います。
全ての人の人生を自分が過ごすことはできないので、読書で補います。
この疑似環境をできるだけ広く・深いものにできるかどうかで、その人の人生の深みが変わってくるという考え方です。
多くの人は知っているつもりで知らないものが多くあります。
他にも多くの事を教えてもらいましたが、紙面の関係上また別の機会にしたいと思います。
今回を機会に、より多くの事を知っていく事を一つの目標にしていきたいと改めて思いました。
非常に多くの示唆を頂くことができた研修となりました。ありがとうございました。