戸澤の週報
2002年08月24日
2002/8/24
現在、日本の金型産業が大きな危機を迎えています。ご存知の通り金型とは様々な製品の製造に必要不可欠なものです。例えば携帯電話を作る際には、携帯電話の外枠が当然必要になりますが、この時必要なものが金型です。一つの携帯電話の仕様にあわせくりぬかれたスペースに樹脂を流し込んで固めると見事な携帯電話の外枠ができる仕組みです。金型作成は、非常に細かい精密な作業が要求される為、今までは手先の器用な日本の独壇場でした。先週もこの週報に書きましたが、製造は海外に取られても、金型だけは国内に残ると信じられていました。しかし、最近になってその神話が崩れてきてしまったのです。原因は、金型技術のデジタル化です。つまりは金型を作る機械が精度を持ってきたためです。今までの機械は全体的に荒く、熟練工が作るものと比べ、出来上がりに大きな差がありました。しかし、最近の技術の進歩により機械の性能は上がり、熟練工が作るものとの差が大きなものではなくなってきたそうです。もちろん今でも技術的にはまだまだ熟練工の作ったものの方が、仕上がりが一枚上手と言う事ですが、問題はコストです。中国をはじめとする海外の多くの地域に、現在金型作成の装置は飛ぶように売れているそうです。それらを使い、現地の安い労働力と合わさって、競争力をつけてきています。本当に精度を必要とするものはいざ知らず、汎用性のあるものはどんどん海外に食われてしまっています。とても残念な事ですが、これも現実ですので受け入れなければいけないのですが、何か私たちにできることはないでしょうか?海外勢に取られていくのをただ指をくわえてみているのはどうも納得がいきません。この状況克服のために色々考えては見るのですが、特効薬は思いつきません。ただ一つだけ言える事は、今以上に魅力を備える為には多くの業界(官も含め)とのネットワーク作りを進め、情報交換を行い、自社だけで行う事ができない案件も挑戦し、実績を作っていく必要があるということです。自社でできることは限られています。海外の巨大な資本と対抗していくには、作戦を立てなければいけません。是非頑張っていただきたいものです。