戸澤の週報
2025年02月15日
林住期
五木寛之さんのエッセーを読んでいると、とても興味深い内容に出会いました。
古代インドでは人生を4つの時期に分けて考えていたという。
「学生期」「家住期」そして「林住期」と「遊行期」。
「学生期」「家住期」を人生の前半と考える。
現代の平均寿命で考えると、50歳までがその時期に当たる。
そして、「林住期」と「遊行期」が後半です。
「学生期」は青少年時代で、心身を鍛え、学習をし、体験を積む。
「家住期」は社会人となり、就職し、人によっては家庭を作り、子供を育てる。
これまではこの人生の前半が黄金期と考えられてきたのではないかと指摘します。
50歳になれば、体力の衰えも感じられ、人は自ずと自分の限界が見えてきます。
しかし、50歳から始まる25年に渡る「林住期」こそ、人生のクライマックスだと言う提案です。
50歳になってから、急に人生の黄金期として開花するのではなく、若いうちから計画し、夢を見て、実現することが大切と言います。
何事も勝負が決するのは後半ですが、最初から大切な後半をどのように作るかにかかっていると書かれています。
確かに、30代・40代は仕事に家庭に我武者羅に日々を過ごしているのが、一般的な気がします。
私自身、1年たりとも気を抜いた気がする年はなかったと思われます。
「家住期」に必死に働き、様々な経験を積んだことが、力強い助走となり、「林住期」を実り豊かなものになることはよく分かります。
自分自身の中で少しずつ軸をずらしていき、本当に自分がやりたいこと、挑戦してみたいことに自らが寄っていくのだと思います。
人によって置かれた状況に多少の差はあると思いますが、歳を重ね、経験を積んでくると、より自分の心に素直に活動の方向を決めて良いのだと思います。
仏教の用語で「放下:ほうげ」と言う言葉があります。
人が苦しむ原因である、執着を手放せと言う意味です。
物への執着(お金、財産、名誉)
人への執着(愛着、嫉妬、期待)
自分への執着(プライド、成功へのこだわり、過去の後悔)
これらの執着を手放し、心を自由になれと言う先人たちが教えです。
決して、全てをあきらめろと言うのではなく、本当に自分にとって必要なものは何かをよくよく考えた上で、行動しろと言うことですね。
「林住期」と「放下」を組み合わせて生きていくことが、より実り豊かな人生に繋がるものと感じました。
参考図書 「林住期」五木寛之 幻冬舎