戸澤の週報
2024年06月22日
エフェクチュエーション(Effectuation)
関東で梅雨に入ったようです。
雨は好きではありませんが、温度が少し下がるのはありがたいですね。
1か月くらい、日本の雨期が始まります。
最近エフェクチュエーションと言う理論を知りました。
何が起こるかわからない、不確実性が高い状況における意思決定の一つの方法です。
熟練した起業家になかで共通にみられる思考様式を体系化してくれています。
これまでの経営学で、何かを新しく行うときの考え方は、事前に計画を立て、できるだけ考えられる情報を収集・分析をして、リスクを洗い出します。
目的に対してきちんと計画を立てて、忠実に実行することで成功を得ようとするのが一般的です。
これをコーゼーション(causation:因果論)と言います。
対して、熟練の起業家は必ずしも、コーゼーションを用いずに、対照的なアプローチで以下の5つの原則を基に意思決定をしていることが分かったのです。
①手中の鳥の原則
②許容可能な損失の原則
③レモネードの原則
④クレイジーキルトの原則
⑤飛行機のパイロットの原則
①の手中の鳥の原則は、ないものを追い求めるよりも、すでにあるものを大切にしようという考え方です。
言い換えれば、持っていないものはとりあえず置いて、自分が持っているものにフォーカスしようということですね。
当たり前の様で、忘れがちなことで、私自身は目からうろこが落ちた気持ちになりました。
②の許容可能な損失の原則は、何かを新しく行う場合に、そこから期待される利益を予測しようとしたところで、得られる保証はどこにもありません。
それをやった場合の最大の損失を考えて、許容できるのであればやるという考え方です。
同時にそれをやらなかった場合の損失はどのくらいと考えて、行動を決めるという考え方です。
命がけのジャンプはしないが、何もやらないことの損失もきちんと考えるということですね。
何かを挑戦する際の、大きな助けになる考え方です。
③のレモネードの原則は、世の中がすっぱいレモンを与えるのであれば、それを活用してレモネードを作ってしまえと言うことです。
熟練した起業家は自ら取り巻く環境の不確実性の高さを自覚した上で、それが分析や予測によって十分には削減できないことを認識しています。
そのため、予期せぬ事態はいつでも起こり得ると考え、起こってしまったときに、それをむしろ前向きに捉え、活用しようという考え方です。
ピンチはチャンスと言う考え方ですね。
私も実感として、ピンチの時にしかできないことが多くあると考えています。
④のクレイジーキルトの原則は、未だに市場が存在しない新規事業であれば、誰が顧客で誰が競争相手かは最初からは分からず、動いた後でしかわからないという考え方です。
また、その活動の中で、自分の活動に共感をしてもらったパートナーを積極的に求めることも特徴です。
動きながら、状況を明らかにして、そういった過程の中で自分の周りに味方を作っていくということですね。
⑤の飛行機のパイロットの原則は、予期せず巻き込まれた乱気流の中でも、自らが実行可能な意味のある行動を探し出し、意思決定を続けることです。
ビジネスはオートパイロットシステムだけで乗り切れるほど甘くはありません。
一旦危機と言う嵐が訪れたら、マニュアルモードに切り替えて、機長である責任者は操縦桿をしっかりと握り、その時々にできることを確実に実行し、何とか乗り切る必要があるのです。
自分がコントロールできないものはとりあえず置いて、自分がコントロールできるものにフォーカスしようということですね。
これら5つの考え方は、体系的に学んだことはありませんでしたが、感覚として必要であると思っていることばかりです。
しかし、漠然と思うだけでしたので、概念化してもらい非常にありがたいと感じました。
(参考図書 エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する5つの原則 吉田満梨、中村龍太著)