戸澤の週報
2023年11月17日
環世界
ドイツの生物学者であるユクスキュルの著書「生物から見た世界」にて、環世界と言う概念を生み出しました。
我々は人間と言う生物ですが、目や鼻などの感覚器官である五感を活用して、我々が住んでいるこの世界を認知しています。
ところが、人間以外はこの世界を同じように見ているのだろうか?
全く違くこの世界を見ています。
ダニの一種のマダニは視覚と聴覚がありません。
その代わりに嗅覚、触覚、温度感覚が優れています。
この生き物は森や茂みで、哺乳動物が下を通るのをじっと待っています。
そして、敏感な温度感覚と匂いにより動物を感知すると、そちらに向かってジャンプします。
うまく相手の上に着地出来たら、今度は手探りで毛の少ない皮膚を探り当てて、生き血を吸います。
この生き物にとっての世界は、見えもしないし、聞こえもしない。
ただ温度と匂いと触った感じだけで出来ているということです。
ミミズはわずかに視覚があり、明るさを感じることはできます。
嗅覚があるので、土の匂いをかぎ分けることができます。
様々な生き物がこの我々が生きている世界をどのように捉えて、自分の世界としているかを、今まで考えたこともありませんでした。
当然、地球は人間だけが生きて、住んでいるわけではありません。
実に多くの種が共に住んでいます。
そこにあるのは多様性でしょうか。
さて、この環世界の観点で人間の世界を捉えてみると、また違ったことが見えてきそうです。
同じ人間同士で五感を持っていて、同じものをみたり経験しても、別の考えや捉え方をします。
ほとんどの人が、自分の環世界を当たり前のものと考え、正当なものと捉えています。
その為、他の人が違った環世界で生きていると、慮ることができないことが多いようです。
この環世界の概念から、人の適切なコミュニケーションの方法を考えるきっかけになりそうに感じたため、まとめてみました。