戸澤の週報

2023年02月19日

過去と言う名前のテキスト

2月も半分がもう過ぎてしまい、あとは6日の稼働日です。
梅もそろそろ落ち始めて、次はいよいよ春の到来です。
今年は少し冬が駆け足で過ぎている気がします。気のせいでしょうか?
 
最近の生活の中で良く出会うキーワードは「過去」です。
先週、あるセミナーで楠木健先生の「逆・タイムマシーン経営論」のお話を聞くことができました。
楠木先生は有名な「ストーリーとしての競争戦略」の著者です。
話の中で興味深かったのは、先生が「激動期トラップ」と名付けた、今こそ社会が激変する時代だとする風潮です。
調査の結果、戦後最大の危機とマスコミで言われたのは既に23回あるということです。
そして、今回のロシアのウクライナ侵攻で24回目だそうです。
現在を生きている私たちが、現在生きていることに対して、客観的に評価することはいかに難しいということが表れています。
過去を学ぶことでしか、真実を捉えることはできないのは間違いなさそうです。
 
最近よく聞く言葉の一つに「心理的安全性」と言う言葉があります。
これは少し前の日本の中の悪しき習慣である、「忖度」に対する言葉と言ってよろしいかと思います。
「忖度」前には「KY」です。空気を読むですね。
これらを整理すると以下の様になります。
「KY:2001年~2012年頃」→「忖度:2013年~2020年頃」→「心理的安全性:現在」となります。
本日のタイトルは「過去と言う名のテキスト」です。
歴史は大きな単位で必ず循環しています。
KYよりも前の20世紀は一体何だったのでしょうか?
東京通信工業(現在のソニー)の設立趣意書にある「自由闊達」です。
この時が1946年(昭和21年)です。
この時から50年間は日本の成長に合わせて、組織の中で広く自由闊達と意見が交換されていたのですね。
現在の心理的安全性の急速な浸透は、日本が大きく成果を出していた20世紀にまた戻っていると言っても良いでしょう。
 
コロナが終息に向かいつつある中で、行き過ぎたデジタル化に少し変化が感じられます。
久しく失っていた昔のアナログなコミュニケーションが再評価されつつあります。
まだその変化はわずかですが、心理的安全性の浸透と共により広がっていく気がしてなりません。
本来の人間のDNAには集団生活の記憶が深く刻まれているはずです。
めんどくさい中にある喜びが、人間の幸せの一つであることはどうやら間違いなさそうです。
 
今の日本に起きている変化を丁寧に拾っていくと、日本が成長していた時代の空気感へ戻っている気がします。
もちろんその当時と全く同じにはなりません。令和スタイルです。
行き過ぎたデジタルで、得られるものには限界があります。
野中教授が命名した人と人の心からのコミュニケーションである「知的コンバット」を経てしか、本当に大切なものは生まれてこないはずです。
このタイミングで、過去と言う事実の教材に目を向けて、次なる時代へのヒントを頂いてしまいましょう。

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