戸澤の週報

2022年11月27日

因果応報

11月も残り3日となり、間もなく師走を迎えることになります。
少し前に令和4年が始まったと思っていましたが、間もなく1年が経ちます。
きちんと1年を振り返り、来年に繋げられるようにしていきたいと思います。
 
運命と言うものを考えた場合、生まれた時から死ぬまでに、もうすでに決まった道があるのか?
このテーマは興味深いもので、学生時代には何度か真剣に考えたことがあります。
その当時は、運命は既に決まっていて、そのレールの上を進んでいくものと思っていました。
中国の袁了凡(えんりょうぼん)と言う人が『陰騭録:いんしつろく』と言う本を書いています。
袁了凡が幼いころに、白髪の老人が来て、袁了凡のこの先の将来に起こることを予言します。
実際にその後は白髪の老人が予言した通りにことが進みます。
ある時、袁了凡は禅寺に立ち寄り、雲谷禅師と一緒に座禅を行います。
雲谷禅師は、袁了凡が雑念妄念の一点もない、澄み切った素晴らしい座禅を組んでいることに舌を巻かれます。
よほど修行をしたに違いないと言いますが、袁了凡は少年の頃に会った白髪の老人から聞いた、この先の運命が定まっていることを話します。
話を聞き終わった禅師は、今までの柔和な顔が突然厳しい表情になり、袁了凡を厳しくしかります。
「素晴らしく聡明で、若くして悟りを開いた賢人かと思ったがあなたはそんな大バカ者だったのか」
そして続けます。「確かにに我々には運命というものがあります。しかし、その運命のまま生きるバカがいますか。運命というのは変えられるものであり、因果の法則がある。人生を運命をたどって生きていく中で、善いことを思い、善いことを実行すれば、運命は良い方向に向かっていきます。また、逆に悪いことを思い、悪いことを実行すれば運命は悪い方向へ変わっていくのです。これを因果の法則と言います。」
袁了凡はその話を聞いてから早速、善いことを思い、善いことを実行していきました。
その結果、初めに白髪の老人から聞いていた寿命よりも長く生きることができ、授かるはずではなかった息子が生まれました。
 
稲盛さんはいつの時も利他の心を訴えていました。
自分自身だけのためにやることは長続きしない。
自分以外の人に役に立ってこそ、その仕事に価値があり、長続きする。
自分の人生も、会社の行く末も、日本という国ですら、この先の未来も全てがこの因果の法則が適用されていると、考えられます。
因果の法則を多くの人が学び、信じて実行できたなら、多くのことが良くなっていくと思います。
因果の法則と利他の心はワンセットで、生涯かけて学び、実践していく必要がある大きなテーマであり、稲盛さんの重要な教えの一つとして、これからも深く心に刻んで生きたいと考えております。
参考図書「致知」12月号 特別講話:稲盛和夫
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