戸澤の週報
2022年08月28日
半導体の現状
まだ、昼間は真夏そのものですが、夜の涼しさは秋のものです。
夏休みももう最終コーナーで、日本全国の多くの小学生が、山場を迎えていることでしょう。
最近は新聞等で、半導体の変調が良く伝えられています。
今日は実際の現場を見ている立場から、少しコメントできたらと思います。
まず、大きな視点で見ると、半導体の不足は、1年前のような大混乱はなくなってきています。
当時は、ほとんど全部の半導体にプラスして、コネクタなどの電子部品も非常に厳しい供給不足でした。
今年の初め位からは、NAND FLASHやDRAMなどのメモリが需要が減ってきました。
在宅勤務で発生した特需がなくなってきた形です。
そして、この夏から他の製品も、少しずつ需要が減退し、同時に供給が追い付いてきた形です。
実際のお客様の現在の声をまとめてみます。
①入手できない製品と、出来る製品がはっきりと分かれてきた。
②入手できる製品が過剰になり、在庫スペースを圧迫している。
③過剰になる製品があるが、入手できない製品があるため、結局調達で苦労は終わっていない。
明らかに入手で苦労する製品は減ってきたかわりに、在庫の過剰問題が発生しています。
また、入手できない製品が絞られてきたために、調達に対するプレッシャーが強くなっています。
半導体メーカーに対して一定以上の交渉力を持っている車メーカーですら、未だに解消していないのは皆様ご存知の通りです。
ましてや、中小企業における状況はまだ解決に至っていません。
一部の大手企業には製品が入っていても、中小企業には全く行き渡っていません。
このような状況はもうしばらく続きそうです。
もう一つの注目は、線幅です。
最新の3nmのような製品は、各社多額な投資が行われており、来年後半から2024年に掛けて大きく供給量が上がってきます。
半面、レガシーと言われている28nm以上には投資が十分とは言えず、当面の間はこのレンジの製品の供給量は大きくは上がらない見込みです。
そのため、需要が落ちない限り、需給のバランスはこのまま継続する可能性があります。
このあたりの製品は、パワー系のアナログデバイスやロジックIC、電源モジュールなどがあげられます。
これらの要因を合わせて考えると、確実に潮目は変ったと言えますが、まだ顧客の問題が解決したとは言えません。
あとどのくらいで状況が変わるのかと、ご質問頂くのですが、非常に読みづらいです。
数か月かけて、緩やかに、しかし確実に供給が追い付いてくるとは思いますが、その後のまたいつ反発するかは、まだ分かりません。
いずれにしても、これからも目を離せない展開が続いていきます。