戸澤の週報

2022年08月14日

野生の経営

お盆の休みに入っています。
今年は移動の制限がなく、多くの人が実家や観光地へ向かったようで、交通機関や道路に大混雑が戻ってきました。
このような様子を見ていると懐かしく感じました。
まだ、予断の許さない状況が続ていますが、色々なものが少しずつ変化し始めているようです。
 
「ブラック・スワン」という言葉があります。
事前の予測が難しく、起きた時に衝撃が大きい事象の事を指します。(参考図書:The Black Swan ナシーム・ニコラス・タレブ著)
最近人類が経験した中では、ブラックマンデー(1987)、米同時多発テロ(2001)、リーマン・ショック(2008)、東日本大震災(2011)などが
挙げられるでしょう。
そして、今経験しているコロナによるパンデミックも十分、ブラック・スワンと言えます。
一橋大学の野中郁次郎名誉教授はこのような時代において、これからの経営にとって大切になってくるのが、数値分析だけではなく、局面の大きな転換を察知する嗅覚であったり、
様々な現象の背後にある本質を見極める洞察力のような、人間が生き抜くために必要な直感や潜在能力が必要であると言っています。
そして、このような直感や潜在能力を「野生」と表現しており、これからは「野生の経営」が必要になってくるとのことです。
野生とは、動物としての人間に本来備わっているものです。
組織として何らかの成果を出すためには、必要なコミュニケーションを取り、お互いの狙い(目的や目標)を確認し、必要な動きを行います。
例えば、狩りを考えて見れば、獲物が取れなければ、そのことは即、自分や仲間の死を意味しますので、うまくいきませんでは済みません。
うまくいかなければ、考えに考えて、これであればうまくいくであろう別の方法で、新たにアクションを行います。
このサイクルは、うまくいくまで何回でも繰り返されることでしょう。
周りに十分な獲物があるうちは、さほど苦労しませんが、獲物が少なくなり、周りのライバルも増えてくると、状況が一変します。
 
今の日本を考えて見るとどうでしょうか?
様々な事象が経営を難しくしていることは容易に推測できるかと思います。
気候の温暖化、人口の減少などの要因に加えて、2年を超えるコロナ禍に大きく翻弄されています。
そして、ここにいつ新たなブラック・スワンが来てもおかしくないのです。
それぞれの国が強固に繋がったグローバル経済は、世界のどこかで起こったブラック・スワンが瞬時に全世界に影響します。
これからのリスクに対して、強い防御力を発揮ししたうえで、攻めるべきところは、激しく攻めていくという、二兎追うことが必要です。
そのためには、誰か特定のリーダーだけが力を発揮するトップダウンだけではなく、社員一人一人の共感を創り上げ、全員が力を発揮する、全員経営がこれからの世界には必要になるはずです。
そして、考え方も、何らか結論ありきで、その方向に進めて行く「演繹法」ではなく、目の前の事象を良く見極め、事実を積み上げていき、最終結論を導き出す「帰納法」的な考え方がこれからの経営には必要になるはずです。
 
野中名誉教授は、経営理論の構築が苦手な日本の学者の中で、現代にマッチした、これからの世の中に本当に役に立つであろう考えを教えてくれます。
少し理解が難しいのですが、しっかりとついて行って、世界に誇れる日本企業への挑戦を進めて行きたいと思います。
参考図書:「野生の経営」野中郁次郎、川田英樹、川田弓子著、KADOKAWA
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