戸澤の週報

2021年10月10日

流域思考

10月の半ばになっていますが、未だに30度を超える日があり、寒暖差が大きい秋となっています。

街では夜になってもお店が開いており、街全体が明るくなっています。

同時に気持ちも明るくなってきます。

 

流域アプローチによる都市再生を専門としている、岸由二先生の「生き延びるための流域思考」を読みました。 

「流域」と言う言葉を改めて学びました。

辞書を調べてもいくつかの意味が出てきますが、ここで言う流域とは、「雨が降ったその水が、ひとつの川に集まる地域」を指します。

太陽の熱を受けた海水は、蒸発して雲となり、雲は風で内陸に運ばれて、そこで冷えれば雨や雪となって大地に降り注ぎます。

大地に降りた雨水は重力によって、下に下に集まっていき、地上を流れていくものもあれば、地面の中に浸み込んでいくものもあります。

地中深くに入り、地下で水の塊を作るものもあります。

地表を流れるものは合流し、地中の浅いところを流れるものは、湧き出てきて、ひとつの小川となります。

小川が合流し大きな川となり、その後海に注がれて、水の循環が一巡します。

 

日本は昔から川の氾濫が多く、治水は昔より、時の権力者の重要事項となっています。

昭和から平成にかけて、多くの台風により、多くの川の氾濫が起きたことにより、治水が進んでいます。

現在は、気候温暖化より、線状降水帯が頻発するようになり、多くの水害を引き起こすことになっているのは、ご存知の通りです。

いかに大量の雨が降ったとしても、氾濫を起こさない、もしくは最小限に留めるか?はこれからの私たちの生活に直結してきます。

個々の対策をこの場で触れることはできませんが、大切なことは「地図」です。

私たちが見ている地図は、都道府県と言う、ある意味、何の意味の繋がりもない場所同士が、ひとつの区とか市とか、県などの単位になっています。

川の氾濫を考えた時に、大切なことは、最終的にその川にどのくらいの雨量が注がれるか?です。

この視点は、先述した「流域」であり、都道府県の単位ではありません。

その川に関係している流域全体で、コントロールする必要があるということです。

だからこそ、地図を流域単位で分かるようにした地図を作成し、現在の地図に重ねてみることで、全体が俯瞰できるということです。

 

現在の気候・災害問題を考える上でも、大きな示唆となることはもちろんですが、この事は企業が置かれている環境を示す、最良のメタファー(例え)ではないかと感じました。

川の氾濫を考えると、一つの流域には複数の県や市が跨いでいることは良くあります。

仮にいくら下流で一生懸命に効果ある対策をしたとしても、上流からの雨量をコントロールできなければ、氾濫を防ぐことはできません。

また、仮に上流で一生懸命に対策をしたとしても、上流の人たちは、その恩恵をほとんど受けることはありません。

部分最適ではなく、全体最適な観点が必要とされています。

県や市を跨いでいることや、川の管理者と下水の管理者が違っていることなどが、対策のリーダーシップや予算取りを難しくしています。

 

岸先生が主張する流域思考は、解決したい問題(もしくは伸ばしたい分野)の遂行責任を一手に引き受ける、一気通貫型組織体制の必要性との共通点を感じます。

現状の前提や組織などはとりあえず、横に置いておいて、何をしたいのか?からスタートして、全体を俯瞰した上で、将来像のグラウンドデザインを描く必要があることを学びました。


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