戸澤の週報
2020年06月13日
キネーシスとエネルゲイア
東京は梅雨入りしたようで、雨のシーズンに入りました。
あっという間に春が終わり、これからは夏に向けた日々となります。
毎年のことですが、梅雨は嫌ですが、真夏の暑さを考えると今の方が良いのかなと思います。
そんなことを言っている間に夏になり、そして暑いと思っているうちに夏は去ってしまいます。
今週はキネーシスとエネルゲイアと言う言葉を学びました。
古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスの言葉です。
運動には2つの種類があり、始まりがあって終わりが決まっているものをキネーシスと言う。
エネルゲイアは始まりと終わりと言う目的を持つことなく、今と言うこの瞬間を味わるための運動を指しています。
例えてみるとどこかの場所に行くとして、できる限り最短で効率の良い方法で目的地にたどり着くのがキネーシスです。
反対に目的地にたどり着くこと自体はあまり重要ではなく、途中にある、その土地のおいしい食べ物屋さんに入って料理を楽しんだり、ふらっと立ち寄った寺院の歴史に触れてみて、今この瞬間を楽しむことがエネルゲイアです。
人間にはこのキネーシスとエネルゲイアの両方があり、バランス良く行うことが大切です。
その為、どちらだけが大切とは言えませんが、我々は少し効率と生産性だけを重要視する世界を作ってしまったのかもしれません。
エネルゲイアの世界は人が人として生まれ、その生を輝かせ、より豊かなものにするためのものです。
本来は誰もが当たり前に備わっているものであり、特別な訓練が必要なものではなかったはずです。
しかし、いつからか、厳しい競争社会が進んでくるに従い、人間本来がもつエネルゲイアの活動本能が鈍っていったような気がします。
「一期一会」「今を生きる」などはエネルゲイア的な発想の昔からある言葉ですね。
人間が持つ時間の軸を明日やもっと先の未来に向けるのではなく、ましてや過去に向けるのではなく、今この瞬間に向けることで、本当の意味で時間を大切にすることができ、最終的にはより豊かなものを実感することができるのでしょう。
もちろん目的を持ち、狙った成果を得るために努力することは本当に重要です。
特に仕事において考えると、決して、ここをおろそかにすべきではないのですが、ある程度の年齢を過ぎたら、キネーシスだけが行き過ぎてはいけないとも思うのです。
マインドフルネスもヨガもそうですが、全ての自分の意識を今に向けることでしか、見えてこないものがあるはずです。
エネルゲイアとはエネルギーの語源になっているということです。
昔の人は生きるための力は今を楽しむことから得ていたと考えることができそうです。
深く生きるためのヒントが少しだけわかった気がしました。