戸澤の週報
2019年09月28日
みんなの学校
ラグビーの日本チームはどでかいことをやってくれました。
世界ランキング2位のアイルランドを破ってしまいました。
初めから見ておりましたが、前半からの堂々とした戦いっぷり。
特にスクラムを組んでいる時は決して力負けをしていなく、むしろコントロールしているように見えました。
ノーサイド・ゲームを毎週見て予習してあったため、ルールや勝負どころも少し分かっていました。今の日本チームは全ての歯車がしっかりとかみ合っているように感じます。
それにしても日本チームの多様性を見ていると、近い将来の日本人像を感じます。
皆さんは「みんなの学校」と言うドキュメンタリー映画をご存知でしょうか?
大阪市住吉区にある公立小学校「大阪市立大空小学校」を2012年度の丸1年間を追った実話の映画です。
「すべての子供の学習権を保障する学校をつくる」
初代校長を務めた木村泰子さんと教職員が掲げた教育理念です。
2006年の開校以来、「みんながつくる、みんなの学校」を目指してきた。
特別支援が必要な子供も、全て同じ場で学びあった。
大空小学校は地域に開かれた学校として、多くの地域住民やボランティア、そしてサポーターと呼ばれる保護者、そして子供たち自らが自分の学校「大空小学校」を作っています。
校則は無く、唯一のルールは「自分がされて嫌なことは人にしない。言わない。」である。
子供はこの約束を破ると「やり直す」ために「やり直しの部屋」である校長室へ行くことになる。
不登校はゼロ。モンスターペアレントもゼロである。
これだけ聞くと本当かなと思うますよね。これが本当なのです。
中身を見ているといくつか本質と思われることが見えてきます。
まずはいかに子供に居場所を作れるようにできるか?
そのために、ひとつには子供が大人をきちんと信じられるか?
もう一つは周りの子供がその子供を受け入れられているか?
両方大事なことですが、子供は素直なものです。
異質なものには異質であると反応してしまいますが、何が大切かをきちんと教えることで、他の子供で例え何らかの支援が必要であるとしたとしても、受け入れる柔軟さを持っています。
そう考えるとやはり大事なのは、大人が子供たちの本音にぶつかり合い、本質を見極めて、自らの考えや方向性を間違っていたと感じられたら、きちんと修正していくことが大切です。
そして、そういう大人の様子を子供はしっかりと見ています。
大空小学校のもう一つの特徴は、学びを基本的には子供同士で行わせることにあります。
知識を一方的に伝える従来通りの授業ではなく、教師は一つ問題を出したら、答えは教えず、子供同士で答えを導き出します。
分からない子供がいたら、分かる子が教えます。わからない子供は遅れることなく、分かる子供は教えることでさらに良く分かるという仕組みです。
冒頭申し上げたように大空小学校はみんなでつくる学校です。
木村校長先生も校長だからと言うことで、最後の砦にはならず、前線で奮闘したり、校長先生でもわからないことは、教職員のみんなに相談したりしています。
誰かの手によってつくられた学校ではなく、みんなの手によってつくられた学校ですね。
この映画を見て、今の企業社会に必要なものがここに詰まっていると感じました。
現在は「就社ではなく就職を」と言う風潮があります。
これは確かに1面では正しいのかもしれません。
ただ、仮にどれだけその会社にいる時間が短かったとしても、その会社のことに主体的に絡めることができるようになっている会社の方が面白いのではないかと思うのです。
「みんなの学校」を「みんなの会社」に置き換えるだけで、実に多くのものが見えてきます。
多様性のある人々(国籍などさまざま)が自分の居場所をしっかりと見つけて、会社を自分のものととして捉えて、いい会社を作っていく。
こんなことができれば本当にうれしいですね。