戸澤の週報
2019年03月03日
スピード
しばらく暖かい日が続いていましたが、先週の東京はまた冬に逆戻りでした。
まさに三寒四温の季節となっています。
本当の春はもう少し先でしょうか?
最近回ったお客様のところで、同じことを聞く機会が増えています。
それは「スピード」に関する話です。
半導体や電子部品の急速な進化により、多くの分野で顧客が望むレベルの機能を満たす製品は既に世の中にあります。
その結果、新製品を出すからと言っても従来に比べて基本的な性能が大幅に上がると言う事は無くなってきました。
アップル社のiPhoneの買い替えの期間が長くなっているのもこれが原因と言われています。
そうしますと、ハード面の性能を大きく上げるための新製品開発は必然的に少なくなってきます。
むしろ、他社製品との差別化はソフト面であったり、使用勝手の向上などが主になってきます。
その結果いわゆる回路部分は従来のものを使用し、一部変更することに留めます。
このことは従来にも増して、回路設計の短納期化が可能になると言う事です。
パターン設計も然りです。
そうなってくると試作品を世の中に出す上で重要になってくるのが、部品の調達です。
基板が出来上がってから各仕入先に部品納期や価格を問い合わせていたのではとても間にありません。
回路設計やパターン設計時に通常で在庫のある製品を採用することで、短納期のマーケットインを実現することが多くなっています。
日本のセットメーカーも、戦っている相手はいよいよ日本メーカーどうしてはないことに気が付き始めています。
海外(特に中国を中心としたアジア勢)は、とにかくあるもので試作品を本当に短納期で作ってしまい、まずは評価できる体制を整えてしまいます。
現物があったらできる事が違います。
多くの生の顧客の声をいち早く入手することができます。
このことが最終的な量産製品への品質や完成度に大きく影響してくることになります。
こういったセットメーカーの動きを受けて、当社としてやるべきことが見えてきました。
回路設計・パターン設計をいかにお客様がスピード感を持って開発できる環境を提供できるか?
部品を仕入れ先から購入し、それを顧客に単に供給するだけではなく、幅広いラインナップを低コストで安定して供給できることが大切です。
試作品の短納期でのマーケット投入は日本企業の今後の大きな課題となりそうです。
そしてその次は試作品から量産品への短時間での移行も大きな課題になってくるでしょう。
何でもかんでも全て自分たちで1から作っていくという考え方は、ほぼなくなってきています。
色々なものをすぐに使える形で、予め揃えておくことが今後の大きな勝負の分かれ目になりそうです。
これからの大きな課題を頂いた1週間でした。