戸澤の週報

2022年10月23日

幸福

10月も残りほぼ1週間となりました。
金木犀も散り始めています。
色々なものが冬に向けた支度を開始し始めました。
 
教育の名著である「修身教授録」の著者である、森信三氏(のぶぞう:通称はしんぞう)は晩年に、多くの著書を残しています。
そのうちの一つが「幻の講話 全五巻」です。
「修身教授録」が戦前に書かれたものですが、「幻の講話」は昭和44年に書き始め、足掛け5年の年月を経て出版されています。
その間、様々な苦労があったと言います。
こちらの本が2018年に致知出版から復刻され4年間「積読」になっていましたが、最近より読み始めています。
まだ、第一巻を読み終えただけですが、後半に森先生の考える「幸福」について書かれていましたので、共有したいと思います。
まず、幸福とは、「不幸だと思わない状態」であると言われています。
例えば健康な時には自分が健康であることに気が付かず、失って初めて健康であることが幸福であると実感します。
それが故に不幸だと思わない状態のときは、それが幸福だと指摘しています。
もちろん人間が幸福な生活を送るために積極的に働き、収入の増加を図ることも大切です。
しかし半面で、自分の「分」を心得て、「足るを知る」ことも大切だと言われています。
そして、今自分が生きていることは、自分一人の力ではなく、周りの多くの物に生かされていると感謝できることで幸せを感じることができる。
その上で、幸福を感じるためには、「いきがい」がある人生を送る事と述べています。
ここで森先生は非常に示唆のある考えを教えてくれています。
幸福というものは求めようとすると得られないもので、逆に自分のすべきつとめを真剣にやっていれば、自然と与えられるものとしています。
人間としてなすべき事柄を、真剣に取り組んでいれば良いとしています。
では、人間としてなすべき事柄とは何かといえば、①自分の強みや才能を十分に発揮すること。②人のために親切にする。ということです。
自分の強みを発揮できることが外にあるのであれば、仕事を変えることは否定していません。
ただ、まだ十分に仕事の中身が分からない内は、目の前の仕事に全力で取り組んでみることが大事だと言えそうです。
 
いずれもどこかで聞いたことがある内容ではありますが、ここまで体系的に幸福について述べたものはあまりないかと思います。
これらの教えの中でも大切なことは、自分の強みや才能をきちんと理解していることであり、それらを伸ばすために努力をしていることだと思います。
人には必ずどこか強みがあります。
ただし、その強みは、ただあるだけではだめで、鍛え、育て、磨いて初めて表に現れてきます。
この強み探しはできれば学生のうちにある程度行っておくことが良さそうですが、もちろん大人になってからでもやることは可能です。
「幸福」一つ取って見ても、正しいプロセスがあるのですね。
やはりここにも教育の重要性が感じられます。
しばらくは森先生に色々と教えて頂きます。

  • corestaffONLINE